性格の不一致という不可解な理由。
離婚する夫婦にとって、すごく便利な言葉がある。
離婚にはそれぞれの夫婦にそれぞれの理由がある。
司法統計による2004年度と2012年の婚姻関係事件申し立ての動機から離婚理由を男女別に見てみると、下記の通りとなっている。
2004年 | ||
順位 | 男性の申立て理由 | 女性の申立て理由 |
---|---|---|
1位 | 性格の不一致 | 性格の不一致 |
2位 | 異性関係 | 暴力を振るう |
3位 | 性的不調和 | 異性関係 |
4位 | 浪費する | 浪費する |
5位 | 暴力を振るう | 性的不調和 |
6位 | 病気 | 酒を飲みすぎる |
7位 | 酒を飲みすぎる | 病気 |
2012年 | ||
順位 | 男性の申立て理由 | 女性の申立て理由 |
---|---|---|
1位 | 性格の不一致 | 性格の不一致 |
2位 | 異性関係 | 暴力を振るう |
3位 | 精神的に虐待する | 生活費を渡さない |
4位 | 家族等との折り合いが悪い | 精神的に虐待する |
5位 | 性的不調和 | 異性関係 |
6位 | 浪費する | 浪費する |
7位 | 同居に応じない | 家庭を捨てて省みない |
一方、民法770条1項に定められている法定離婚事由は下記の通りとなっている。
1.配偶者の不貞な行為があったとき
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき[ad]
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
5.その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき
男女とも1位となっている申し立て理由は「性格の不一致」で、これは2004年も2012年も変わっていない。法的な離婚事由に当てはめるなら、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当することなのだろう。
そもそも生まれも生活環境も違う男女、性格や考え方が違うのは当たり前のことです。
恋愛結婚が多い昨今、自分とは違う相手の部分も含め、互いに惹かれて結婚したのも事実なのに、「性格の不一致」を理由に離婚する夫婦が多いのはなぜだろう?
もしかしたら、不倫関係に陥ったり、暴力やギャンブル、性的不調和が原因で離婚する場合でも、世間体を気にして「性格の不一致」を理由にすることが多いのかも知れない。
芸能人の離婚の記者会見の場でも、離婚理由のそのほとんどがこれだもん。
離婚する夫婦にとって「性格の不一致」という言葉ほど便利な言葉はないわけだ。